マジャン ~畏村奇聞~ 感想
なにかこう、いい感じに暇をつぶせるなにかが欲しいんだけど、お金も出したくない。
そんなわがままな探し物をしている時に、KIndleUnlimitedで見つけました。
麻雀漫画、「マジャン ~畏村奇聞~」。全11巻。
公式では、『新感覚麻雀ホラー』と銘打たれているようです。
麻雀の中でも特にローカルルールに焦点が当てられており、最初の一回を除いて普通の麻雀は一切なしという思い切りです。
主人公は麻雀にこそ自信があるものの、対局ごとに変わるローカルルールを一切知らない状態からスタートし、手探りでルールを解読しながら、逆にルールを利用して逆転劇を仕掛けるというカタルシスが見どころでした。
ストーリーでは、村社会の掟や因習、特殊な信仰がテーマになっておりそちらも見どころです。
ストーリー
父が行方不明となり、叔父に連れられ父の故郷である麻上村に引っ越すことになった山里卓司。
麻上村では「マジャン=麻雀」により全てが決まるという特殊な掟が定められており、引っ越したばかりの卓司はその掟を知らずマジャンを侮辱したとして、マジャンで身体の一部を賭けた勝負を強制されてしまう。
辛くも勝利を収めるものの、この事件をきっかけに目を点けられた卓司は、麻上村に根強く残る因習に巻き込まれていくことになる……。
あらすじをまとめるとこんな感じです。
巻き込まれた主人公は、絶望して逃げ出したり腕を失くしそうになりながらも、因習に真っ向から立ち向かいマジャンで勝利を重ねていきます。
主人公が対局を重ねるごとに目に見えて強くなっていくのが気持ちよかったですね。
また、軽いネタバレになってしまうかもしれませんが、最後に「村の外には主人公より強いやつがうようよいる」という形になったのも個人的によかった。
主人公の山里卓司は村の外からやってきたので、作中では唯一村の外の人間たちと対局を行ってきた人間なんですよね。
麻雀の腕は高いのですが、それでも最強というわけではありません。
もちろん物語を通した成長はあるのですが、そんな主人公が村で最後まで勝ち残れたことを考えると、閉鎖社会ってやっぱり成長限界があるよね、と多分物語の本筋とは全く関係ないことを思いました。
マジャン
本作の柱その一。
根っこにあるのは麻雀ですが、無数のローカルルールが制定されており、対局前に選ばれたルールが本来の麻雀にプラスされます。
このローカルルールですが、由来などもしっかり描かれていたので、どこかに実在するローカルルールがもとになっていると思われます(オリジナルもあるかもしれません)。
ルールの名前こそ読み上げられるものの、卓司はその中身を一切知らされずに対局を行うことになるので、圧倒的不利からのスタート。
ルールを理解するまでの手探りの対局、ルールを理解してからのいかにルールを利用するかの思考戦。さらにはルールを理解したと思ってからのどんでん返し。
そのどれにも読みごたえがあり、ひとつの対局の中で何度も違う局面を味わえました。
あと麻雀全然わからなくても読めます。大事。
土着信仰
本作の柱その二。
マガミ様という土着の神を信仰し、神前で行われるマジャンではなにを賭けても許される(主人公が自分の命を賭ける場面もある)という、とんでもない文化が麻上村では形成されています。
信仰を背景として絶大な権力を持つ一族や、村の地域ごとの対立など、閉鎖された村社会のおどろおどろしさが存分に描写されていました。
物語序盤は薄気味悪い村、中盤はマガミ様への信仰に憑りつかれた恐ろしい村、終盤ではそんな村に隠された秘密が描写されていき、この漫画のもうひとつの面白さを形作っていきます。
この手の話が好きな人は、こちらの部分でも楽しめると思います。
まとめ
麻雀漫画としても、村社会もの(?)としても楽しめる良作でした。
申し訳ないことを言ってしまうと、あまり期待せずに読んだのですがいい意味で期待を裏切ってくれました。
Kindleにはこの漫画みたいな面白い本がまだまだ眠っていると思うので、時間があればまたなにか掘り当ててみたいですね。
お読みくださりありがとうございました。
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